忘れていた話
つい最近長年お世話になっている会社で数日間のワークショップの通訳をする機会がありました。長い時間ご一緒させていただくので、休憩時間に色々話していたのですが、ある時以前私がその会社のインハウス通訳者として働いていた時の話になりました。
当時の会社の経営陣とその会社の海外の親会社の英語スピーカーとの間で白熱したやりとりが行われていて、私が通訳に入っていたのですが、その会議室に入り切れない人たちが別室で通訳機器を使って私の通訳を聞いていたんですね。
その2名のやりとりが白熱し、英語スピーカーがShut up XX(名前)というようなことを言ったらしいんですね。(「らしい」というのは私はその出来事をはっきりとは覚えていなくて、その出来事を教えてくれた方は、英語のコメントではなく、私の通訳を聞いていたからです。)そして私がその英語を「黙れXX」と訳したと。そしてそこにいた一同が「おー!すげー古賀さん訳した(教えてくれたその方のコメントをそのまま引用しています)」となったと。
私はそんなことがあったことをすっかり忘れていたんですが、その瞬間の私の通訳を聞いていた方には、「うわーそのまま訳すんだ」と驚きを持って受け止められたようなのです。「ネタにしていましたよ」と言われました(笑)。
このブログでも何度か触れていますが、基本的に通訳者がスピーカーの発言の内容を編集することがあってはならないと思っています。私はその信念に基づいて「黙れXX」と言ったのだと思います。(そもそも会議の場でShut up XX.と言うのはどうなのよと思いますが、それは通訳者がコントロールできることではないので。)
何がきっかけか忘れてしまいましたが、長い長いワークショップの間に、そんな昔の話を聞きながら、ひとしきり笑ったのでした。自分がすっかり忘れていた自分の行動を他の誰かがずーっと覚えていて、ネタにしていたなんてびっくりでした!
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