バックトラックが少ないね
先日プライベートでも仲良くしている通訳者のAさんとがっつり組ませてもらう機会がありました。これまでも何回か組ませてもらっていますが、今回は4時間x4日の案件でした。
テクニカルだからというのとは違う理由でチャレンジングな案件を終えて彼女と話す機会があったのですが、「これまでいろいろな通訳者と組んできたけど、その中で一番バックトラックが少ない」というありがたいフィードバックをもらいました。バックトラックというのは、例えば一度ある単語を主語にして文を言いはじめたものの、文を成立させられないということになって、別の主語にして言い直すなど、戻って言い直すことを言います。
当然ながらこれをすると時間が失われます。とはいえ英語と日本語のように文と思考の組み立てが大きく異なる言語では、バックトラックをゼロにするのはとても難しいです。戻らなくてもいいような主語を早すぎず遅すぎないタイミングで出していくことを心がけています。また、文の組み立てを工夫して出してしまった主語で乗り切るという対処もしていると思います。
ここで役に立っていると思うのは大学院生時代に行ったサイトラ(サイト・トランスレーション)の練習です。書かれた文章をできるだけ目で読んだ順に口頭で訳出していく練習です。日本語から英語にする際は文末まで結論が出てこないのである種の賭けになるのですが、サイトラの練習を繰り返したことが文の組み立てを学ぶ上でも、訳出を聞いた順にする練習という意味でもよかったのではないかと思っています。
大学院時代の地味な練習の繰り返しが今も生きていると思うと本当に感慨深くありがたいです。
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