カタカナ語にするか、和語にするか
これは英日通訳をしているとずっと付きまとう問題ですよね。私は基本的に和語にしたい傾向があるのですが、とはいえその業界の会社や日本人がいつもカタカナで言っている単語を無理に和語にすると余計に分かりにくくなるので、その場合は当然カタカナで言います。
分野によってカタカナの許容度はかなり違いますが、あまりにもカタカナが多いと「あの通訳者は肝心なところを訳してくれない」と言われてしまいます。個人的にはカタカナに「てにをは」をつけるような通訳はあまり好きではないので、やはり和語にすることにこだわりたいです。(カタカナで出すことが常に悪いと言っているわけではありません。そういうアプローチの方が分かりやすくなる業界もあります。)
ここまで書いたような私の中の大原則とは別に、敢えてカタカナ語を増やすときがあります。それは話者の話すスピードがあまりにも速い、訛りがあまりにも強い、内容が専門的で専門用語があまりにも多いなどの理由で、そちらに脳のリソースが取られているのを実感できるときです。その場合は、普段余裕があれば全て和語にしている単語を敢えてそのままカタカナで出します。(もちろんカタカナで出しても聞き手が理解できることが確信できている単語のみです。)そうして脳のリソースを節約するのです。この「脳のリソース」っていう説明伝わるでしょうか?たぶん通訳者の方はよく理解できると思うのですが。
ただ機械のように通訳していると思われることもあるこの職業ですが、状況によってかなり色々な調整を入れています。私たちの業界でもAIに関する話題が出ることもありますが、少なくとも私が通訳者でいる間は、英日通訳の仕事がAIに取って代わられることはないように思います。楽観的すぎるでしょうか?
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