男は度胸、女は愛嬌
「男は度胸、女は愛嬌」という言い回しがありますね。以前は当たり前のように聞いていたこのフレーズですが、ここ数年違和感を覚えるようになってきました。突き詰めて考えると男女を問わず度胸も愛嬌もあるに越したことはないと思うし、男性はこういうもの、女性はこういうものと、個人を性別による枠組に当てはめる言い回しである気がしてならなくなったのです。
皆さんは人からどんな人だと言われたことがありますか?私は男性の英語スピーカーの同僚から何度か言われた形容詞があります。それはfeistyという言葉です。
研究社新英和中辞典を引くとこのように出てきます。
1元気のいい,気力いっぱいの; 攻撃的な
2悪意の,怒りっぽい
私に対して使われたfeistyという言葉は果たして褒め言葉だったのでしょうか?何人かに言われたことがあり、その全員に意図を確かめることはできませんでしたが、ある人はspiritedという言葉を使って説明をしてくれて、仕事に対して熱意があるからこそだと褒めてくれました。しかし中にはネガティブな意味で使っていた人もいるかもしれません。
日本語ではまだあまり話題にされていない気がしますが、英語においては職場で女性に対してよりネガティブな意味の言葉が使われやすい、また同じような行動であっても男性の場合ポジティブに受け取られ、女性の場合ネガティブに受け取られる傾向があるという動画や記事を多く目にします。また私も実際の職場で同じことを感じてきました。
例えば同じ振る舞いに対して、男性であれば「堂々とした」、「自信がある」などの言葉が使われるのに、女性だと「生意気な」、「アグレッシブな」という言葉が使われることがあります。(日本語の「アグレッシブ」は英語で使われるaggressiveよりさらにネガティブな印象を与えますね。調和を重んじる日本人にとって受け入れにくい振る舞いなのでしょうね。)一見同じ振る舞いでも女性の場合はネガティブに受け止められるのは、女性は堂々と自信ありげにものを語るべきではないという考えや思い込みがあるからではないでしょうか?
言葉の選び方に対して批判の声が上がると、日本では往々にして「言葉のあや」として済ませようとする傾向がありますが、言葉はやはりその裏にある思いや一般に浸透している考えを反映していると思います。そして先に言葉を変えることで、人々の見方や考え方を変えていく場合もあるでしょう。
言葉を扱う者として人一倍気をつけているつもりではありますが、無意識の選択が差別を助長しないように気をつけなければなりません。また気づかずに持っている差別意識があるのであれば、まずはそれを認識し改めていかなければなりません。
feistyという言葉を聞くたびにそのことを思い出します。
(写真は暑い中行った新宿でのミーティングの帰り道に見かけた素敵なアート。ここからエキサイティングなお仕事につながる予感。当たるといいな。)
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