幸運の女神に後ろ髪はない
この表現は以前ある通訳者の方のお話の中で出てきて、女神を題材にして語っているあたり日本語発祥ではなさそうなでおもしろいなと思ったのを覚えています。通訳者の話だったので、この表現を訳すという文脈だったような気がするのですが記憶が定かではありません(結構最近の話なのに我ながら記憶力が悪すぎます…。)
さて今週のある日の通訳中のこと、クライアント企業の日本人の社長さんが急にこの表現をおっしゃったのです!「聞いたことがある」という諺や言い回しの通訳にはほぼ何の助けにもならない感覚を覚えながら、さてどうしようと思って本当に直訳としか言えない訳をしました。(恥ずかしくて書けません。)ありがたいことに相手のアメリカ人が私の言いたいことを理解し「こういうことだよね」と同じ意味の別の言い回しで言い返してくれて、それを日本語に訳して「そうそう」と場が和み通訳としては事なきを得たわけです。
しかし自分としてはせっかく英語で決まった言い回しがあるのに、それを言えなくてとても悔しい思いでした。よくあることなのですが新しい英語の表現に出会った時、「へえこんな言い方があるんだ」と感心しても、結局仕事中に痛い目に合わないとなかなか覚えるところまでいかないんですよね。
私の場合、日本語より英語の方が弱いので英語表現では特にそうなります。そして複数の単語が連なった表現の場合、なかなか一度では一語一句覚えることができません。こんな単語が入っていたなとかこんな感じの表現だったなというところまでしか思い出せないのですよね。結果的に曖昧なまま言って通じることを期待するか、別の言い方をするアプローチを取るかということになります。
学習者のレベルに関わらず、一つの英単語を覚える時にも当てはまることですが、1回出てきただけではよほどのインパクトがない限りなかなか記憶に定着しません。ましてや同時通訳の最中に間髪入れず出すということは難しいです。(今回の場合は逐次通訳でしたが。)ということで今の私はこの表現を改めて調べて、次に出てきたら絶対に言えるようになるぞと決意しつつ、この記憶が薄れないうちにどこかで誰かがまた言ってくれないかなぁと祈っています。(短期間で同じ単語や表現に何度も出会うのが記憶定着の鍵ですね。)その時には女神の前髪をしっかりつかみたいと思います!
ちなみに英語の表現はこちら。(他にもバリエーションはあるようですが、私自身が一番しっくりきて言いやすそうなものを載せますね。)
Seize/Take the fortune by the forelock.
今回のちょっとした失敗談。筆記用具を持って行ったのに、それをスーツケースに入れてホテルに預けたまま、クライアントに伺いました。バッグに予備のペンが入っていたので、ホッとしてメモを取りながら逐次通訳をしていましたが、途中でペンが死亡・・・。インクが出ないけど、メモらしきことをして紙の3分の1に見えないメモを取って、斜めから見たら書いた跡が見えないかなぁとうっすら期待しましたが、全く見えませんでした(涙)。仕方ないので記憶を元にその部分を訳し、まさか隣にお座りの社長さんに「ペンを貸してください」と言えず、振り返ってあまりお話をしたこともない社員の方に急遽ペンをお借りしました。(言葉遣いこそ丁寧に言いましたが、多分有無を言わせず表情だったことでしょう・・・。)ちなみに会社員時代、ペンが死亡した時はアメリカ人社長のペンを借りたことがあります・・・。早速3色ボールペンを仕事バッグに入れたのでした・・・。What a rookie mistake I made…
0コメント