通訳パートナーについて考えてみた
先週は4月に続いてNさんと現場のお仕事でご一緒させていただきました。その時に一緒に仕事をしやすい通訳パートナーとはということを考えたので、書いてみることにしました。
通訳者には比較的細かい性格の人が多いような気がしています。特にフリーランスの場合はなおさらそうだと思います。私自身もどうでも良いことは本当にびっくりするぐらいどうでも良いのですが、こだわることにはかなり細かくこだわります。どんなことかといえば音声環境や資料が見える環境なのかということです。通訳者の席というのが往々にして部屋の一番端(例えば端であるだけではなくスピーカーの声が聞こえない場所)に設定されていたり、逐次通訳(つまりメモを取らなければならない)なのに立って行うことになっていたりします。こういう時は必要なお願いをこちらから積極的にしなければなりません。(大体の場合理由も簡潔に説明します。ただ色々と要求していると思われては困るので。)
その一方で会場の制約や現在はリモートが増えたので回線の制約などで、理想的でなくても受け入れて、その中で最大限の努力をしなければいけないという側面もあります。お願いしたけれども無理であるとなった場合はスパッと諦めるということです。先週の仕事も現場からのリモート通訳であり、事前のブリーフィングでかなりいろいろなことをお伝えしました。ブリーフィングでこちらから主にお伝えしたのは通訳の中味に関することではなく、回線のことや音声環境、通訳者がいるべき位置のことでした。
クライアントの皆様にご理解いただきたいのは、通訳者からのお願いは最終的に聞いている皆様により明確で分かりやすい通訳をお届けするためにしているものだということです。通訳者はメインの参加者ではないのだから端にいれば良いと考える気持ちも分からなくはありませんが、私達は見えるべきものがクリアに見えて、聞こえるべきものがクリアに聞こえなければ、仕事を全うすることができません。
Nさんと仕事をしていて感じるのは、通訳という仕事の最終的な目的が分かっているところ、通訳者として主張するところと、引くところが自分と似ているということです。常に自分のアプローチや考え方が正しいとは全く思っていませんが、そういうところが似ていると通訳パートナーとしては「言わなくても分かっている」安心感があるのでとても仕事がしやすいのです。
リモート通訳の時代になって、クライアントに対して通訳者が必要としていることを説明しなければならない場面も増えてきました。お願いすることはしっかりとお願いして、諦めるところはスパッと諦める。自分もそうありたいし、そういう方と今後ご一緒できるとありがたいなと思っています。
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