肯定を否定に、否定を肯定に
同時通訳をしていてよく思うのですが、元々の発言が肯定だった場合にそれを否定に、もしくはその逆にした方が自然に響くことがあります。そういうケースが出てきたときに「あ、これをブログに!」と思うのですが、なかなかメモを取れずにいたんです。
先日コロンボ を見ていた時に出てきた例が参考になると思ったのでご紹介します。
コロンボ がThis hook, miss. Do you know what it might be for?と犯罪の第一発見者の女性に訊きます。実はこの時女性が答えるよりほんの少しだけ早く「さあ、初めて見たわ」という字幕が出て、その時私はオリジナルの英語はNo. I've never noticed.ではないかと思ったわけです。蓋を開けてみると案の定でした。このように予想できたのはきっと同時通訳をしてきて(時と場合によってですが)肯定を否定に、否定を肯定に何度も訳してきたからだと思うのですよね。我ながらとても興味深いなぁと思いました。
I've never noticed.は直訳すれば「気づいたことはありません」とか「今まで気づかなかったです」となりますが、「初めて見た」の方が自然だと思いませんか?その逆もまたしかりで、日本語で同じ場面が展開されて「初めて見ました」と聞いて英語に通訳するとしたらIt's my first time (to see it).とかI saw it for the first time now.とはきっと言わないと思うのです。(もちろん間違いではありませんが)
もちろん同時通訳の最中に肯定と否定をひっくり返すことはそこまで頻繁ではないし、ひっくり返すんだと強く意識しているというわけでもないので、どう身につけるかと言われれば英語も日本語もインプットを繰り返していくとより自然な表現が出てきますという答えになってしまうのですが、同時通訳を始めたばかりの方にはあまりない発想かもしれないと思ったので触れてみました。
言葉を訳すのではなく意味を訳すとよく言いますが、こんなところにも現れているのではないでしょうか?
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