4年ぶりの世界大会の通訳
先日4年ぶりに訪販協世界連盟の世界大会のお仕事をさせていただきました。前回担当時はまだ社内通訳者で社内のお仕事として現地パリに出張しました。今回は元々昨年開催予定だったものが今年に延期になり、タイでの開催でしたが参加者の現地集合は叶わず、史上初のオンライン開催でした。
通訳者の観点でいうとオンライン開催の場合、事前に録画されたものに当日同通をかぶせることが多くなります。今回も内容のほとんどがそのような形でした。世界各国からパネリストが参加するセッションが多く、当然時差もあるので事前録画したものが多くなるのも頷けます。
訪販大手各社のトップのパネルディスカッションではコロナ禍においての必要な変化や逆に新たに開ける機会についての力強い話がありました。いつも思うことですが、この業界の特にトップの方がまとっている前向きかつ積極的なオーラは格別です。オンラインであっても伝わってくるものがありました。
そして個人的に楽しみにしていたのはSalesforce 社のMark Benioff氏による基調講演です。実は全く別の通訳のお仕事に関連してBenioff氏の著書を読む機会があり、1-1-1モデル(会社がどれだけ大きくなろうとも、製品の1%、株式の1%、就業時間の1%を慈善目的に使う)をはじめとした彼の考え方に感銘を受けたばかりだったのです。
実際のセッションは講演というより、彼の個人的な友人であるS社のCEOとの対談という形でした。お二人ともご自宅から参加していたようで非常にリラックスした雰囲気ではありましたが、そんな中でもBenioff氏の口からはものすごいスピードで様々な統計を含むお話が飛び出して来て、通訳者としてはかなり大変ではありましたが、同時にやりがいもありました。ちょうど前日見たというアメリカCBSの有名な番組60 Minutes(懐かしい!)の話からBLM、K字回復、気候変動、EUのグリーンニューディール、コロナ禍で女性の方が失業しやすいことや自社の1-1-1モデルの話まで、1時間の間にこれでもかというぐらい色々な話が出て来ました。原稿なしにこれだけの話が数字も含めてできることに感嘆しました。世界のトップ企業の頂点にいる人とはこういうものなのだなぁと改めて思ったのでした。
今回とても嬉しかったのですが、聞いていた方から協会にすぐに連絡が入り「とても分かりやすかった」というコメントがあったそうです。そしてなんと「通訳者が6人いたのでは?」とおっしゃる方もいらっしゃったそうです。実際はNさんとの2名体制だったのですが、なんでも「声が異なって聞こえた」のだそうです。こういうとてもポジティブなフィードバックが即時に直接的に入ってくるのは珍しいことで、とても励みになりました。Nさん、今回もご一緒してくださってありがとうございました!
ちなみに次回の世界大会はドバイで開催されるそうです。その頃には海外渡航が普通にできるようになっていると良いですね。
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