ズボンじゃなくて・・・

先週久々に某ファッションブランドで通訳をさせていただきました。その時のことです。


英日が9割以上を占めるお仕事で、プレゼンの中でtrouserという単語が出てきました。その時思わず「ズボン」と言ってしまったのですよね。そして口から出たその単語を自分で聞いた瞬間「あちゃー」と思いました。


いえ、別に意味としては間違ってはいないのですよ。そしてカタカナで「トラウザー」と言っても日本語としては通じないと思うので、そういう意味では「ズボン」は最低限通じる訳ではあったわけです。どこに対してあちゃーと思ったかというと、「パンツ」と言った方が良かっただろうなと思ったんですよね。


これはつまりその業界の日本人が自然に使う言葉は何だろうかということなのです。いつ伺ってもとてもファッショナブルな皆さんを見ていると、きっと「ズボン」という言葉は使わないだろうと思います。自然な訳を出せれば出せるほど、聞き手にとっては「通訳を聞いている」という感覚が薄くなります。そういう意味で悔しかったのです。


そしていまだに「パンツ」という響きに下着を連想してしまう変なメンタルブロックを早く解除したいです。(訳出としては通訳する時のイントネーションで解決できると思いますが、自分の連想がブロックになって訳出にほんのコンマ何秒躊躇してしまうような気がします。)


実は2回目に出てきたときは「ボトム」と出して、これもまた間違ってはいないのですが、やっぱり「パンツ」と言った方がより正確だろうなと思いました。「パンツ」のメンタルブロック恐るべし・・・。


ちなみにこれがファッションではない全く別の業界で男性もののズボンの話をしているのであれば「ズボン」という訳出で全く問題ないと思います。実際そういう場面もあります。


通訳というのは話し手を自分に憑依させる部分もあると思うのですが、まだまだ憑依の度合いが足りなかったですね。久々の分野であってもスムーズにスピーディーにできるようになりたいです!

日英同時通訳者 古賀朋子 English-Japanese Interpreter Tomoko Koga

‟天職を生きる” 日英同時通訳者 古賀朋子(Koga Tomoko)のホームページです。お気軽にお問合せください。

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