時間を取るか、意味をとるか

通訳者も人間なので、いくら両方の言語に精通していても「あの単語なんだっけ?」となることがありますし、「この単語なぜか覚えられないんだよねぇ」ということもあります。


少し前にある通訳者の方と組んでお仕事をしている時にすごく共感したことがありました。それは彼女が「格闘技」の訳に少しだけ詰まっているなと気づいたからです。私も実は「格闘技」の訳であるmartial artsを忘れやすいんですよね。そもそも通訳中たまにしか出てこないし。(格闘技の訳はCombat sportsの方が良い場合もあります。)


では、martial artsが出てこない時どうするかというと、0.2秒ぐらい二つのオプションの間で悩みます。martial artsを思い出そうとするか、少し広めの意味の言葉でパッと出るものを出して前に進んでしまうかです。


自己紹介の一環として趣味の話をさらっとしているだけであれば、sportsとしてしまうのも一つのアプローチですし、実際にそうしたことがあります。


これが例えばゲームの通訳をしていて「格闘技ゲーム」がと出てきたのならば、上記の趣味の紹介よりは「格闘技」という言葉そのものを的確に出す重要性が増すかもしれません。


さきほど二つのオプションと書きましたが、厳密には三つ目のオプションもありますね。それは同時通訳をしながら訳を調べて出すということですね。よく考えれば、これもそこそこの頻度でやっていますね。家からオンラインで通訳に入るとありがたいのは目の前のキーボードで両手打ちでささっと調べて通訳に入れ込めるということです。(もちろん調べ終わったタイミングにもよりますが)


少し話がそれましたが、同時通訳はとにかく時間との戦いでもあるので、どうするか迷って、もしくは思い出せなくて、時間を無駄にするとその間にどんどん話が流れていってしまいます。


私にとっての同時通訳のイメージは乗馬のようなもので(乗馬はしたことがありませんが)、一度振り落とされて落馬するともう馬はずーっと先に行ってしまうようなそんな印象です。


どんなスピードだろうが、どんなに揺れようが落馬しない通訳を目指しています。(常にできるかはともかくとして目指すことから始まると思っているので。)

日英同時通訳者 古賀朋子 English-Japanese Interpreter Tomoko Koga

‟天職を生きる” 日英同時通訳者 古賀朋子(Koga Tomoko)のホームページです。お気軽にお問合せください。

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