あなたの心臓が欲しい
タイトルを読んで「は?」となった人も多いと思いますが、これ以前見た韓国映画「別れる決心」に出てくるセリフです。
ネタバレになってしまうので、これから観ようと思っている方、知りたくない方は読まない方が良いと思いますが、劇中の中国人女性ソレが中国語でつぶやいた言葉を彼女の頭上からアップルウォッチで録音していた刑事へジュンが、後でその音声を機械で翻訳した結果出てきたのが、「あなたの心臓が欲しい」です。
中国語のセリフに注意を払っていなかったのですが、おそらく「心」と言ったのだと思います。中国語の「心」を調べてみると以下のように出てきました。(4、5もありましたが割愛します。)
1.心臓
2. 心、気持ち、考え
3. 中央、真ん中
これが機械翻訳では「あなたの心が欲しい」ではなくて、「あなたの心臓が欲しい」と訳され、ヘジュンが混乱するわけです。
実は先日シカゴに向かう便で「別れる決心」があったので再び見たのですが、今回はデルタ航空だったので英語字幕でした。その時のこのセリフの英語字幕はなんだったかと言うと・・・
I want your head.だったのです、I want your heartではなく!
以前から日本語の頭と心と英語のheart, head, mindなどとの関係が1対1ではないことは感じていたのですが、久々にその感覚を思い出しました。
headを英英辞典で引いてみるとyour mind and thoughtsという説明もありました。同じ辞書でheartを引くとyour feelingsとありました。ソレはヘジュンに惹かれていっているというストーリーの流れだったのでI want your heart.でも良いような気もしますが、I want your head.だったのですね。
そもそもの中国語と韓国語との間の誤解で言うと「心、気持ち」が欲しかったのに、臓器である「心臓」と訳されてしまうところがミソだったわけですが、英語では「心臓」ではなく「頭」だったわけです。どうしてかなと考えてみたのですが、臓器として見たときに心臓が気持ちを司っているわけではなく、頭が気持ちを司っているからこそのI want your head.だったのかなと思っています。
言語オタクとしてはこれが面白くて面白くて。先日韓国語のソンセンニムにも話して、(私の説明がだいぶまどろっこしかったと思うのですが)面白いと言ってくれました。
やっぱりこういうときに言語としての日韓の近さと日英(韓英)の距離を感じますね。本当に興味深いです!
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